愛おしい大人たちの感想文
東京千秋楽を迎えて、残すは大阪のみになった「あの子より、私。」
ただの感想と考察をつらつらと頭の整理をするついでに書き残したい。
本当にただの考えや憶測だし、拡大解釈のオンパレードなので
解釈違いとかあると思います。ごめんなさい、先に謝っておきます…。
あとネタバレだから見たくない人はここでお別れしましょう!
まだ例の別荘地見学会に参加してない人は
知らずに見たほうが5000倍楽しい。この私が保証する。(どの私?)
ちなみにパンフレットをまだ読んでないのであしからず。
まるで遺書のような始まりになってしまったが、
殺されるなら私は絶対誠司くんに殺されたいです。
誠司くん、その赤いジャケットどこで買ったの?
カナダのバッチ、なかなかにダサい・・・
そんなことはおいておいて。
まずは彗から見ていきます、基担なので・・・
①開口一番で「お姉さんたちってレズ?」の発言からわかる彗の素直さ
彗、マジで人の気持ちが汲めない。よく言えば素直。本能のままに生きている。
ずっとヘッドホンを首からかけているし、人といる時もつけてたりする。
ヘッドホンが欠かせない彗は外部の意見をシャットアウトしたい気持ちがあるのかなって思った。
「外食してもじろじろ見られる」
「お父さんのサインちょうだい」
「大学、コネで入ったの?」
「ミュージシャンにならないの?」
これ全部彗が浴びてきたのしんどい。
そりゃヘッドホンしてシャットアウトしたくなるよね…。
本人、無音だと落ち着かないって言っているけど本心は違うところにあるんだろうな。
でもさ????一緒にいてもヘッドホンしてるの周りの人どう思うと思う?????
こうやってなにかのせいにする節もある男。
一週間限定で付き合っているのもお願いされたから。
やりたいことやれないのはパパがミュージシャンで恥ずかしいから。
同情してしまうところも多いけど、やっぱり素直すぎる。
「お姉さんたちってレズ?」センシティブだから突っ込むな。
「池袋~?遠いから中目にしようぜ?そのほうがみんな良いと思う、絶対そう」
池袋提案してくる人、ぜったい中目黒へのアクセス悪い。
「なんですっぽん食べたいんだろう」「あ、出てった」
「また出てった」「シャイニングじゃん!」「迫真の演技じゃん」
「離婚したんですよね?」
思ったことなんでも口に出すな!!!!!!無邪気か。
「マッチングアプリとかいいと思います」
うるせー!パートナーってぜったいいないといけないの!?!?
嫌味ゼロだからサイコみがある。
「離婚したんですよね?」のあと笑うし、恋愛だけじゃなくてそういう人の感情の読み取り力が弱いし、興味もったものにはとことん追う(ルミの行動が気になるし、音楽が好き)。だけど興味のないものにはとことん興味がない。
傷つきたくなくて音楽を聴いてすごす、防御からついた習慣なのかASD寄りのこだわりの強さで音楽に没頭しているのかはわからないけれど、後者な気がしている。
英美香がオタク発揮して護と話すときも、引いた白い目で見て背を向けようとする。
あからさまに態度に出すな…。
メトロノーム勝手に出すな…勝手に鳴らすな…じっとして?
あと彗くん関係ないんだけど、最初のはじめましてのシーンで
広尾に住んでるレズカップルにうちも広尾、と話す兎谷家。
広尾の上のほう(港区麻布方面)のカップルに対して下のほう(港区白金寄り)と話す夕美。
そのあと池亀家と合流してお酒飲んだ後、「今どこに住んでいるの?」と楓に聞かれたら「港区のほうに…」と返す夕美。やっぱり港区なんじゃん…広尾に謝って…。
楓は「世田谷に住んでるの」と庶民派な感じで返すけど夕美が「どのあたり?」と聞けば「成城」と返すの一枚上手って感じがして良い。いいぞ、楓…
そこから護と楓が成城トークで意気投合するのも夕美は気に入らないんだろうな…。
バチバチの火花飛んでてここたまらんのよね。
そのあと金澤さんが護が芸能人ということに気が付かず、夕美が必死に説明して聞かせている中、初美(以下はーちゃん)が楓が作家であることに気が付くのもたまらん。
はーちゃん「ファンです!デビューから読んでます!雑誌の編集長してます!」
楓「え!!!よんでます!」
ってやりとり、夕美絶対うらやましい。見なくてもわかる、羨望のまなざし。
護と金澤さん(orルミorはーちゃん)にこういう会話してもらいたかったんだろうな…。
旦那の仕事を金澤さんに力説する夕美、護の仕事を尊敬していて応援していて大好きなんだろうなっておもいながら見ちゃう。
きっとファンなんだろうな。
英美香が護のファンなのを素直に喜べてないのは嫉妬しているところもあるんだろうな…
同担拒否なの?護担?
②兎谷家、めちゃくちゃおもしれ~家族。
夕美(母)と護(父)、愛夢と彗。
めっちゃ女の性格が強い一家。
愛夢はルミを利用してほかの人よりも自身が売れたいという気持ちが芽生えた瞬間から、今まで無関心だったのに目の色を変えてほかの人と接触するようになる。
手段を選ばない根性と気合は母譲りなんだろうな。
あと家族じゃないけど夕美と楓のキーパーソンの誠司。
誠司は夕美の学生時代の彼氏で175cm・20歳の大学生。
初めてナンパした相手は夕美(自称)。そういっていろんな女の子落としてるんだろうな~。君は特別だよ…?とか今まで君みたいな美人には出会ったことないよ!とかいってそう。ふ~ん。
誠司の誠は誠実の誠(夕美談)。女たらしのプレイボーイ。追いかけたいタイプで自分の言いなりにさせたい。夕美はそんな彼にぞっこんで何も見えていない。
「キスしたの!!!!」と舞い上がっているからたぶん夕美の初彼氏。
夕美が席を外した瞬間、表情を変えてプレイボーイモードで楓に近寄る。
(椅子座るとき足ぶつかるぐらい距離詰める。やり手すぎるだろ…)
そのあと楓が学生時代に誠司くんに告白されたと自白。ほら!やっぱり最低男じゃん!
【誠司への夕美のきらきらエフェクト集】
おくれてごめん、まった?(ウインク)
はじめまして、誠司です(きらーん)
うん、サンキュー・・・(ずきゅん!)
おまたせ!(ジャケットばさぁっ)
夕美はほんと面白い女。
たばこも本当は吸ってるけどその事実が夕美は嫌で飴にエフェクトで変換されてるのかと思ったけど、楓が飴舐めてる?って言ってたから飴は事実なんだろうな…。
いや…楓に尋ねさせることで夕美が自分に「彼、たばこ吸えないから」と言い聞かせてる節あってもおかしくない…
彗が楓に母の学生時代ってどんなだったんですか?と聞くと
楓は夕美と仲良くなったきっかけを話す。
夕美に「文化祭で喧嘩したよね、誠司くんのことで…」と話を振るが、夕美は覚えていないふりをする。
楓はきっと自分に話しかけてきた軽い雰囲気の彗に誠司の影が見えているような気がした。
ぞっこんだった相手に似て育った息子、ザ・母と息子って感じがするよね。(?)
夕美めちゃくちゃ彗のこと好きだろうな…
あと愛夢は夕美の生き写しみたいにそっくりでパワフルで嫉妬深い。
大学のレベルと就職のことで英美香と揉めるとき、夕美と楓の言い合いかと思うほど。
そんなそっくりの母・夕美は娘にも容赦なく自分を貫く。
内心、自分が芸能をやっていたころよりもインフルエンサーとして影響のある愛夢に一人の人間として嫉妬している?とすら思える。
愛夢が山に逃げ出したとき(ここだけ読むと謎シチュエーション過ぎる)、
夕美は愛夢の分の傘を持って探しにいかないし
自分がさしてる傘に入れてあげるわけでもない。
なんならさしていた傘を放って一緒に雨に打たれてぶつかって言い合う強さ。
自分のやりたい仕事に対して「お父さんはいいって言ってくれたよ・・?」というと
”親として” 我に返って、返す言葉を失っているように思える。
そんな豪雨の山中で、接し方に頭を抱える夕美。
舞台の反対にはノリノリでベッドに横たわって意味の分からない歌詞の自分の歌を口ずさむ護。父と母のいい対比の演出で痺れる。
でもその曲何とかしてほしい。
連日観劇しすぎたせいで
寝る前とか、頭洗ってるときとか、ふいに流れて無意識に口ずさんでるときある。
怖い。
ウーパールーパーって脱皮するの?
グーグルに聞いた。しないらしい。
絶対日常生活に支障きたしてるおたくいる。
対して彗は母親が理想の女の人なんだろうなっていう印象。
彗みたいな男ってマザコンじゃん?
てかだいたい男ってそんなもんよ(CV.占い師さん)(客席の笑い声)
停電のシーンでも夕美の「彗!落ち着いて!彗!」に「お母さん…!」って返してるしハグされたときは超優しい顔でにこにこ、明転すると真顔でスン…と虚無になっていておもしろい男…素直になれって…
そして自由人にみえて太めの芯と深めの過去がある父・護。
子どもたちにも自分らの好きなことをさせたい、という気持ちをもっている。バツイチで前妻に浮気された経験がある。夕美の心配性とはそりが合わないが、夕美のよき理解者なんだろうなあ、と感じる。
「相手がもっていて自分にないものなんて考えなくていいんだよ(ニュアンス)」とほかの人と比べて私は…と卑下しがちの英美香に刺さる一言を吐く。
この舞台のタイトルとメッセージに込められている真意をしれっと伝えくれるのがパパなのずるい。
愛夢を追いかけて夕美が出て行った、と楓から言われて「まぁ帰ってくるっしょ!」と心配する気配がないのもよい。無関心ではなくて信頼が見える。
曲を作ったことがないのに彗と仲直りしたときに口ずさんだ曲を二人で作る。
なんだそれ、エモい。
音楽が好きなのに彗に音楽を勧めることもなく、彗が音楽好きだと知っているくせに自分から彗に音楽好きなの?と聞かずにいるのは
ミュージシャンになれと強要しているように感じてほしくないとか思ってそう。
バルコニーで男同士の会話をするシーン、仲直りをしようと彗に歩み寄るが彗がはぐらかすのは照れ隠しなんだろうなぁと。
好き、と電話で言っているのを家族全員に聞かれてしまった手前、また電話しているところを見られてしまった彗も気まずかったんだろうな。
そのあと「お父さん」と呼んで「俺が音楽好きなの知ってる?」と、
やっと自分のことを素直に言えた彗。
しんみりしたピアノの音が流れ、護が「聞かせてよ」と返す。
初見でわたしはこのピアノに合わせて基くんが歌いだすのかと思いました。
あとしれっと ♪雨上がりに~ジョン・ボン・ジョヴィ~ のバラード版流れてるのしんどい。
笑わせたいのか感動させたいのかはっきりして!?!?
あと、彗が「やりたいことやっていけるわけがない」と音楽の道に進むことを描いている自分の理想の将来と、愛夢が今おかれている立場が同じでそれを重ねてキレるシーン、夕美は彗…と宥めるが内心はミュージシャンと結婚してしまった自分にも非があるって思って自分を責めていそうな雰囲気。
彗は音楽をやりたいけれど勇気がなくて、踏み出せない理由を父親にしてしまう。そういうことあるよね、ってつい自分と重なってしまって
決していい考えではないのになんとなく励まされて肯定してもらえた気分になる。
もともと芸能人でモデルとしてやってきた母親を見てその憧れが少なからずある愛夢、父親の音楽のそばで育って自分も音楽をやりたいと思ったであろう彗。
親の背中をみてその道に憧れるってすごいことだよ…と見ていてしんみり。
夢や前向きな目標はきれいなところしか見えないから憧れで、現実は厳しい。
私自身が今、憧れと現実のはざまで揺れているからこの描写はかなり刺さった。
ある職業に就くことを夢見て10年以上やってきた。ほかのことは視界にいれず、憧れた夢を叶えることだけ考えて走ってきた。つらいときもあったしほかの道に進んだほうが楽、と何度も思ったけれど
やってきたことを無駄にしたくなくて続けた。
でもそれって本当にやりたいことだからやってきたの?
かけてきた努力と時間を無駄にしたくないから夢を追っているならば
目指す理由や本質とはもうかけ離れているのでは?
こう思った時にはもう遅くて、いざその職業についたら現実は本当に厳しかった。
人のせいや環境のせいにして、もう逃げたい。
逃げたいけど自分の人生、苦労する道を選んだほうがいいとわかってる。
でも、もうつらい思いはしたくない。
諦めたら終わりなのも知っている。でも諦めたい。
自分のことだから自分で決断しないといけないのもわかってる。
そんなゆらゆらとした心でいたときにこの舞台を見てしまったからこの葛藤はすごく刺さったし、同時に同じように悩んでいるひとに出会えたような気分になった。
苦労してきたから輝けるけれど、輝くための苦労を愛する子供たちにはしてほしくない。という根底がきっと同じだから、この夫婦はつながっているんだろうな、なんて思った。
背中をみんな押してくれるけれど、苦労がしんどいものだとわかっているから踏み出せなくて。
一歩踏み出すのは自分だとわかっているけどその勇気が出ない。誰かにこの重たい体を押してほしいなんて甘えちゃうんだよね…
③池亀家の人びと
楓はシングルマザー。ギャンブラーの元夫との間に一人娘の英美香がいる。
不動産屋の金澤さんとは友人。金澤さんもギャンブラーだから元夫の相談とかしていたのかな、と思う。
<(ここから莫大な妄想します)
金澤さんと楓、揉めた説とかあったらいい。大人の仲直りって難しい分、仲直りした後の二人って無双状態になれると個人的に思っている。
楓の元夫と金澤さんのギャンブラー同士の間になにか関係があって、二人が揉めて和解した経験から今回夕美と仲直りしたいと思い、金澤さんが協力して二人でこの計画を立てたりしたのでは?金澤さんの最後の「私は友達だと思ってるよ」みたいなセリフが妙に気になるし、それをいわれた楓の表情も気になっている。>
で、娘の英美香は寡黙で愛想笑いもするしお世辞も言うしヨイショもうまい。愛夢はあのルミにさえもヨイショが下手だし素直に不満があると噛みつく。
娘同士も正反対。
どこか一歩下がってあまり自己主張しないタイプだけど、護が浮気されていた話をするシーンで「はぁ!?なにそれ!うっざ!」と荒々しい口調で意見を述べているし、椅子の上に乗って飛び跳ねながら楽しむような子だし、そういうのをみると内心いろんな感情を抱えている子なんだろうな、と思う。
兎谷家の騒動(愛夢と彗の将来について一家で揉める先述のシーン)のとき、英美香も聞いているんだけどその時に動揺もなにもしていない様子でただ眺めている。
夫婦のもめごととか、家庭内で起こる紛争に慣れていそう。
ルミの「はーちゃんのそういうところ、嫌いだわ!」の言葉にはーちゃんが「え…」と絶句しているあとに楓も「え?」と夕美に学生のころ「楓のそういうところ嫌いだわ!」と言われた記憶がフラッシュバックしてるのもいい。
実際、弁論大会で夕美が優勝し、悔しくて泣いた楓。
あの時「楓の強がって嘘つくところ、嫌い(ニュアンス)」と夕美に言われているが、自分の愛想笑いとか人に合わせてごまかしたり、自分の気持ちを隠していた楓の本心を夕美に突かれて、楓は相当びっくりしたんだろうな。
④同性カップルのルミと初美
登場するや否や揉めてる。ラブラブだけど揉めている。
この世に普通なんてなくて、恥ずかしい・ほかの人のことを気にしてしまう(比べてしまう)のを理由にやめる必要はないと教えてくれる人々。
尊敬しあっているふたり、でもルミはさみしい。
かまって!ってしても仕事が忙しいとはーちゃんにあしらわれている。
でもエンディングではふたりで寄り添って、なんならはーちゃんが寄りかかって甘えていてすごくいい。
服装も明るく派手に変わっていて、本当はルミに甘えたかったけど同性愛者特有の恥ずかしさがあってできなかったんだなぁって思うと、最後のシーンはボイパどころじゃない。
基くんごめんね。あの瞬間、全私がはーちゃんをよしよししてます。
みんな見て?あのルミとはーちゃん、最高だから・・・
かまってほしい限界値を突破したルミ、謎の隙間に挟まっていて中国の子供みたいでかわいい。(中国の子供、すぐ挟まるのよ。しらべてみてね)
彗と護のシャイニングじゃん!!!!が地味に好き。結構忠実にシャイニング。
(わたしのツイッターに画像あるから見てみてね)
シャイニングが謎の隙間からはーちゃんに抜けるシーン好き。
彗、「手伝わないほうがいいと思う」っていうけれどルミとはーちゃんの大切な愛のシーンだからとか理解してなさそうで良い。護もな。
⑤不動産屋の金澤さん
めっちゃ頑張ってる。大好き。
馬と!!!!山は!!!!!!なめちゃダメ!!!!!!!
府中競馬場で金澤さんになにがあったのかしりたい。
金澤さん、いちばん謎が深い。
大阪は金澤さん目線で見たい。(多分無理)
2時間もない中でこんなに深読みして楽しめるなんてことある?
主演の黒谷さんや遊井さん、その他の俳優さんの演技力に脱帽しながら
残りの公演も全力で岸本ワールドを楽しみたい。
ひとまず気になっていた主夫メゾンを見たい。
岸本脚本のファンになってしまった。
坂元裕二さん以来の脚本家にハマる展開、うれしすぎるし幸せすぎる。
岸本さんと出会わせてくれて、俊介くんありがとう…。